デジタル・オーディオの基準レベルが -20dBFSと -18dBFSの2種類あるわけ

デジタル・オーディオ信号では、標本化ビット数(16bitとか24bit)の範囲で信号レベル(音の大きさ)を扱います。たとえば 16bitの場合、最少レベルは 0 が 16個、最大レベルは 1 が 16個です。デジタル信号ではすべてのビットが 1 になった状態をフル・ビットといって、それ以上の信号レベルは扱えません。もしそれ以上のレベルが入ってきたら? 2進数なので 1111 1111 1111 1111 の次は桁上がりして 1 0000 0000 0000 0000 ですが、17bit目がないので、0000 0000 0000 0000 になります。つまり最大音量からミュートになってしまいます。これは人間の耳にはプチッとかブチッというノイズに聞こえ、連続すればひどい歪に聞こえます。

デジタル・オーディオ信号の場合、アナログのテープ・レコーダーのように「徐々に歪む」ということがなく、フル・ビットを超えたらいきなりノイズになるので、絶対に超えてはいけないレベルです。そのためレベルの監視には、音量を視覚的に把握しやすいけれど反応が遅いVUメーターだけではなく、反応が早い PPM(ピーク・プログラム・メーター)を併用します。VUメーターとはどんなメーターなのかについては過去記事をご覧ください。

ここまでですでに引っかかっている人のために、ちょっと 2進数のお勉強をしましょう。たとえば 4bitの場合、最少レベルは
0000 (10進数で0)
0001 (1)
0010 (2)
0011 (3)
0100 (4)
0101 (5)
0110 (6)
0111 (7)
1000 (8)
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1111 (15) ←フル・ビット

16bitだと
1111 1111 1111 1111 (65535) ←フル・ビット

つまり 4bitだと信号レベルを16段階 (0-15)に、16bitだと 65,536段階に分解できるということです。24bitだと何段階ですか?

デジタル・オーディオではフル・ビットという問題があるので、レベル監視は重要です。アナログ録音では VUメーターの 0VUを +4dBmにするのが一般的ですが、デジタル録音では 0VUを指している時点でフル・ビットまでどれだけの余裕(ヘッド・マージン)があるかが重要です。

さらに ヘッド・マージンを何dBとるか、つまりVUメーターの 0VUをフル・ビットから何dB下がったところにするかというのは、放送局と音楽スタジオでは考え方が違います。放送局では世界中の局と番組交換を行うので、当初から統一された基準レベルが必要だったのに対し、音楽スタジオでは収録の段階ではいくつを基準にしようが「歪まなきゃいいんじゃね?」とも言えます。特にダイナミック・レンジを広く取りたい場合はフル・ビット近くまで信号レベルを上げて録音することも珍しくありません。

世界中で基準レベルがバラバラではデジタル機器を製造するメーカーも困ってしまいます。いちおうAESでは -20dBFSを推奨しているので、基本的にはこのレベルで設定している機器が多く、実際の運用は個々の判断でおこないます。

放送局では EBU(欧州放送連盟)が 0VU = -18dBFSと規定して、これを守るように各放送局に勧告しています。日本では NHK が -18dBFS を採用しているのはこうした理由と思われます。ちなみにこの -18dBFSという値はフル・ビットから 3bit下がったレベル* です。

*1bitに付き 6dBなので、3bit x 6dB = 18dB です。何で1bit = 6dBなのかって? さっきの 4bitのシフトをもう一度見てください。0010 (2) を左に 1bitシフトすると0100 (4)。もう 1bitシフトすると 1000 (8)。つまり 1bitあたりの重みが 6dB (=2倍)ということです。

ちなみに同じ理由で、標本化ビット数によって理論上のダイナミック・レンジも決まります。つまり16bitの場合は 16bit x 6dB = 96dB、24bitの場合は 144dBです。

宣伝をするのを忘れていました。TRITECH VMシリーズ VUメーター・ユニットには、Sensitivityスイッチが付いています。これは0VUとする基準レベルを2dBステップで切り替えができる機能です。これにより、普段はヘッド・マージンを20dBに設定していて、次のスケジュールがヘッド・マージン18dBの仕事だったとしても、いちいち基準信号を入れてメーター・トリムを回さなくても、スイッチひとつで切り替わり、戻すのも簡単です。スタジオ・アシスタントの皆さんにはとても便利だと思います。

夏季休業のお知らせ

誠に勝手ながら、2022年8月12日、15日を夏季休業日とさせていただきます。

8月11日~8月15日まで連休となります。

ご迷惑をおかけいたしますが、よろしく願いいたします。

タックシステム株式会社

社屋移転のお知らせ


平素は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
さてこのたび、タックシステム株式会社トライテック事業部は下記住所へ移転する運びとなりました。

これを機に、社員一同気持ちを新たに、益々業務に精励する所存でございますので、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

新所在地
〒141-0001
東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル11階
TEL: 03-3442-1525(代表)
FAX:03-3442-1526
*電話番号・FAX番号が変わりますのでご注意ください。
業務開始日 : 2022年5月9日

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社屋移転に伴う臨時休業のお知らせ
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誠に勝手ではございますが、社屋移転のため、以下の日程で臨時休業とさせていただきます。
2022年5月2日(月): 臨時休業
2022年5月3日~5日: 祝日のため休業
2022年5月6日(金): 臨時休業
現社屋での最終営業日:4月28日
新社屋での業務開始:5月9日

以上、お取引先様には何かとご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます

社名変更のお知らせ

令和3年12月28日をもちまして、株式会社トライテックはタックシステム株式会社(トライテック事業部)と社名が変わります。
 
社名変更以外、所在地、電話番号、URL、メール・アドレスなどの変更はございません。またスタッフ、業務内容なども従来通りです。弊社製品はTRITECHブランドとして存続いたします。
 
ご質問などございましたら、弊社担当までお問い合わせください。
今後とも相変わらぬお引き立てを賜りますようお願いいたします。
 

株式会社トライテック

株式譲渡に関する基本合意書の締結について

弊社親会社であるタックシステム株式会社と株式会社レスターコミュニケーションズが株式譲渡についての基本合意書を締結したことを受け、弊社は令和4年4月より株式会社レスターコミュニケーションズの傘下に入ることをお知らせいたします。

株式会社トライテック

リンク(PDF)
基本合意書締結のお知らせ

部品が入らない!

世界的な電子部品の供給不足は、弊社にも影響を与えています。特に電源関係、コネクタなどあって当たり前だった部品が、商社から軒並み「納期未定」の回答が返ってくるありさまです。お客様からご注文をいただいても、製品によっては納期が全く見えず、うっかり受注できない状況です(納期1年後って・・・)。

完成在庫品と部品調達済みのものは通常納期で出荷できていますが、これも今後はどうなるか見通せません。製造業にとってはまさに死活問題です。

弊社製品をお引き合いいただけるような場合は、このような状況をご考慮いただきお早めにお問い合わせいただきますようお願いいたします。

製品モデル・チェンジのお知らせ

下記弊社製品につきまして、現行品の製造を終了し、新製品へのモデル・チェンジを行います。

■ACS-DC(製造終了) → ACS-DC2(新モデル) 定価¥270,000.(税抜)

■DIR-IF(製造終了) → DIR-IF2 (新モデル)定価¥99,600. (税抜)

現行品の在庫が終了次第、新モデルに移行いたします。詳しくは弊社営業までお問い合わせください。

   

2021年6月21日

株式会社トライテック

製品価格改定のお知らせ

下記弊社製品につきまして、2021年7月1日受注分より販売価格を変更させていただきます。

CMC-REM 新価格 ¥88,000.(税抜)

CMC-DIR 新価格 ¥62,000. (税抜)

ACS-OP1 新価格 ¥164,000.(税抜)

ACS-OP3 新価格 ¥104,000.(税抜)

なおACS-OP2(埋込タイプ)は受注生産品・オープンプライス とさせていただきます

よろしくお願いいたします

  

2021年6月21日

株式会社トライテック