トランスのインピーダンスはテスターでチェック?

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某 “教えて” 系サイトで「10kΩ:600Ωのトランスがあるのだが、データシートが無いのでどちらが10kΩでどちらが600Ωかわからない」という質問に「テスターで測って抵抗値の大きいほうが10kΩ」という回答があって笑ってしまったのですが、その回答に “ベストアンサー” が付いていたので複雑な気持ちになりました。これを読んだ第3者が正しい回答だと誤解しなければいいのですが・・・

確かに10kΩ側のほうが巻線数が多いので直流抵抗値も大きいでしょうが、それだけでは済まなくなってしまいます。

トランスの構造を考えてみましょう。トランスは金属性のコアに細いワイヤを巻きつけたものです。鉄の釘にコイルを巻いて電磁石を作りませんでしたか?基本的にはあれと同じです。電磁石では電池(直流)をつないで電磁石にしました。

ところでテスターの抵抗レンジは、被測定物に直流を流して抵抗値を測ります。もうおわかりの通り、トランスのコイルに抵抗レンジにしたテスターのリードを当てたとたん、コイルに直流が流れて中のコアが磁化してしまいます。

どんなに高価なトランスでも、コアが磁化してしまうと本来の音質とかけ離れた、高域の落ちたくぐもった音になります。いったん磁化したトランスは消磁という処理をしないと元に戻りません。

Image3

トランスのインピーダンスを調べるとか、断線の有無を調べる時はテスターの抵抗レンジを使ってはいけません。きちんと発振器をつないで調べましょう。最近の高感度のテスターならACレンジで測定値を読めるはずです。

Image2

この方法で、発振器とテスターを入れ替えて値を比べればどちらが10kΩ側でどちらが600Ω側かわかります。信号レベルがより大きいとき、発振器をつないでいる側が600Ωですね。